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社会人ジャニヲタの備忘録

キャメロット【ネタバレあり】

日生劇場で10/7〜10/28までやっていた舞台キャメロット

私は、原作がアーサー王伝説であること、ブロードウェイ版でジュリー・アンドリュースがグエナヴィア妃を演じたことと、フレデリック・ロウが作った曲を何曲か知っている程度でした。

 

Lerner & Loewe, Richard Burton, Julie Andrews & Robert Goulet「Camelot (Original 1960 Broadway Cast)」



 

2004年にキラー・ナトレイがグエナヴィアを演じた映画『キング・アーサー』を見た記憶もありましたが、あれはまた別視点の物語なので、アーサー王伝説もまた色々あるんだよなぁと改めて。

 



 

今回原作の、T.H.ホワイト著の『永遠の王』を読んでから舞台に行こうと意気込んでいたのですが、通勤の傍らに読むには荷が重すぎて、初回の舞台の時には上巻の1/3も読めていない状態でした。(その後なんとか下巻の1/3まで読み進めて私のキャメロット千秋楽は終えましたが、その後読み切ることができました。達成感がすごい、、。)

 

そこで、私的初日の前にリチャードハリス主演の映画『CAMELOT』を予習として観ることに。Blu-rayなので古い映画ですがとても綺麗です。今回の舞台より映画の方がグエナヴィア妃が魔性の女感が強いので、またイメージが変わるかもしれません。(小説の方がもっと色々ドロドロしてる)

 

今回オケピではなく、ステージ上にオーケストラ席があり、弦楽器、リード楽器、金管楽器、打楽器ととても大規模な編成だったように感じました。私は生演奏のミュージカルが大好きなので、この編成も大歓喜

 

今回の舞台キャメロットアーサー王の心の葛藤がメインの物語だと私は思っていて、その葛藤が度々見えてきます。

円卓の騎士制度をつくる時、グエナヴィアがランスロットに対して敵対心を持ってる時、ランスロットとグエナヴィアの関係に気付いた時、グエナヴィアを火炙りにかける決断を下す時、トムにこの伝説を託す時などなど。

その葛藤が見えるたびに、「アーサー王、、そんなに悩まなないで、、、、自分に優しく、、、」と思ってしまった強火アーサー王担。

「私たちも苦しいの!」じゃねぇんだよ、ランス!ジェニー!もっとアーサーのこと考えてやってくれよ、、、、!

あと、結局あれほどの功績を残した王であっても、最後は自分の信じて進めてきたことが足枷になることで味方も少なくなり、少年が後世に語り継ぐように託すしかないのか、、、という無念さも感じてしまったり。舞台ではペリノア王が最後まで味方としてそばにいてくれて本当に良かった、、、。

 

 

ここから先は小説を読んだ上での個人的な感想

原作の小説が1000Pもある大作なので、これを3時間にするのは至難の業で、モルドレッドの件も盛り込むとなると盛りだくさんになるよね!わかる、わかるよー。でもモルドレッドがただの嫌な奴に全振りすることになってしまってるのが個人的には残念。(小説は1回読んだだけでは混乱するくらい、もっと複雑な人間模様があったし、登場人物も多くて、世界史が苦手な私は主要キャラ以外の名前が覚えられなくて苦しかったです。)

モルドレッドは、父親だと思っていた人に邪険にされたり、本当の父親(魔法で騙されたとはいえ)からも父というよりは従兄弟の扱いだったりと、あんな育てられ方したら捻くれるよねー。舞台では完全に悪者でちょっと気の毒。いや悪い奴なんだけど!やな奴なんだけどさ!

しかも、モルドレッドの母はアーサーの姉(異父兄弟)というのもまたややこしいし。(昔の王って政略結婚するもんね、そりゃいろんなところに子供がいるよね、、、。)

 

あとは、そもそもの物語に年齢表記がないのと、時間軸が広すぎるのであれなのですが、本を読んだ超個人的な感じだと、最後の場面での

アーサー王が60代

グエナヴィアが40-50代

ランスロットが30代

モルドレッドが20代くらい

だと思っていて(異論は認める)、ランスロットとグエナヴィアが若気の至りでくっついたって感じになっちゃうのは勿体無いなぁと。本を読む限り、あれば完全にグエナヴィアが掌で転がしてた。魔性の女だったわ、、、、。

 

一般的なアーサー王伝説というのは、アーサー王が戦いの中勝ち進み、円卓の騎士を作り、偉大な王に成り上がっていくストーリーのイメージが強い(最初に紹介した映画『キング・アーサー』がまさにそんな感じ。)のですが、舞台『キャメロット』では、アーサー王の心の葛藤に軸を置くことで、アーサー王の没落と後世にその想いを託すことで、もう一度希望の光を見出す姿で終わるそんなストーリーになっています。

 

何はともあれ、メインキャストはもちろん、アンサンブルのみなさんの歌もとても素晴らしくて、その歌声に惚れ惚れしてしまいました。

 

個人的に好きな歌が2つあって

Camelot

・What Do the Simple Folk Do

 

しばらくこのアルバムで余韻に浸れそうです。

 

あとはステージ照明を使った演出がとても素晴らしくて、1階席で見た時は見えない壁のシーンがただのパントマイムに見えていたのですが、2階席から見たらちゃんと照明で壁が描かれていたのには感動しました。あとはランスロットが軍隊を率いてグエナヴィアを助けにくるところで、赤い照明で血の海を表していたり、楽器に光が反射して(偶然かもだけど)戦いの激しさを表していたのもすごいなぁと。

 

また素晴らしい舞台と出会えたことに感謝!